Casper2016年8月22日読了時間: 7分Humm部屋の掃除ついでに溜まったダイレクトメールを整理していると、三年ほど前に離ればなれになって、写真家になって忙しなく世界を飛び回っている彼氏から手紙が届いていた。日付はまだ新しく、一週間ほど前、ここへ入れられたようだった。洒落た封筒の裏、達筆な字で自分の名前が書かれてあること...
Casper2016年8月21日読了時間: 4分ブルー・マンデー彼氏が体育館のコート内でボールを追いかけ回している最中、わたしはひとり、地学部が使用する実験室で居眠りにふけっていた。崩れかけた化粧を直し、帰る支度を万全に整えていたというのに、当の相手は補欠がうんたらかんたらと、わけのわからない呪文のようなことを言いながら走り去ってしまっ...
Casper2016年8月7日読了時間: 11分楽園の終わり「へったくそな彼氏だな」 俺ならもう少し焦らすけど。 ていうかこんなドブ臭い場所でよくキスできるな。ムードのひとかけらも無えじゃねえかと思いかけてやめた。むしろそんなことは本能を目の前にした時、なんの意味もなさないのかもしれない。若さゆえかねえとかなんとか思う俺は、どうやら...
Casper2015年11月2日読了時間: 8分ペガサスと夢想の果て『死神』と呼ばれる狩り屋がダウンタウンに入っていると電話で知人から聞かされたのは、まだ暑さの残る九月の半ば頃だったと思う。ちょうどその時テレビが点いていた。画面越しに映し出されたのはダウンタウンの南端部に位置する漁港の倉庫。数百メートルに渡りずらりと並ぶその列の東側、そのさ...